「利尻富士」「利尻岳」「利尻火山」等とも呼ばれる『利尻山』の夏は登山客で賑わっています。【利尻富士】と言う呼ばれ方が一番有名ですが、利尻山を見れば分かる通り綺麗な稜線を保っている事から【利尻富士】と呼ばれています。この島の大部分を利尻富士が占めているのでフェリーなどで利尻島を眺めると、海に浮かんでいる山の様な感じに視覚的に映ります。
さてこの利尻山! 独立峰の成層火山で1,721mの標高を持っている山となります。そして利尻島は島の殆どが利尻礼文サロベツ国立公園に入っていて、この山域に関しては特別区域になって居ます。この山の優雅さなどから「日本百名山」「新日本百名山」「花の百名山」「新・花の百名山」などにも指定されています。
この利尻山へは登山で訪れる人も多いのですが、登山コースで一般的に知られているのは、「鴛泊コース(北)」「沓形コース(西)」となっています。実は林道を通る「鬼脇コース(南)」もあるのですが、こちらは7合目より上が立ち入り禁止となっています(現在の正確な情報は不明です)。そんな事からも登山コースとして考えられるのは「鴛泊コース」「沓形コース」の二つになります。またこの二つのコースの難易度を考えた場合には、「鴛泊コース」が中級者向けコースで、「沓形コース」は上級者向けコースとなっています。そんな事からも利尻登山をする場合には、登山技量などを考慮してコース選択をするのが良いと思います。
◆鴛泊コース(中級者向けコース) [コース概況] 中級登山者の多いルートになっています。5合目までの樹林帯の緩やかな道、6合目付近で森林限界を越えると、傾斜も強くなってきて、つづら折りの急登に入ります。避難小屋が8合目付近にあります。その先の9合目から山頂への行程は、浮石が邪魔する足元に、特に注意が必要な道になります。 [登山口] 鴛泊市街地から約5㎞の北麓野営場が登山口になります。 [コースタイム] 標高差:約1,490m・登り:約6時間・下り:約4時間 休憩などを考えた場合には、約11~12時間を見た方が良いと思われます。 |
◆沓形コース [コース概況] 上級登山者の多いルートになっています。森林限界は6合目。狛犬野坂からは、急登&平坦の繰り返しになっています。山眺山から雄大な眺望でリフレッシュをした後は、強烈な難所が連続します。「背負子投げの難所」と言ったロッククライミングさながらの難所、「親不和小不和」と言った45度の急斜面を横断する様な事故なども発生する難所などと、名前からしてもとても怖い難所がいくつもあります。その為、特に厳重注意が必要な上級レベルのコースとなっています。利用する場合には7月以降の雪解け後から、雪が降り始めるまでにして下さい。また足元がとても不安定なコースの為に、登りルートとして利用する方が安心です。 [登山口] 利尻町町役場前の沓形市街登山口から5kmほどの距離にある見返台園地が登山入口(5合目)になります。 [コースタイム] 標高差:1,280m・登り:約6時間・下り:約4時間 休憩などを考えた場合には、約11~12時間を見た方が良いと思われます。 |
利尻登山をする場合には安全には十分注意して、無理をしない様に頂上を目指して下さい。またどちらかと言うと初心者にオススメ出来るのは、「鴛泊コース」になりますが、このコースにチャレンジする場合には、スタート地点になる利尻北麓野営場で、キャンプをして朝からスタートするのも一つの方法です。5月中旬~10月中旬の期間は、テント1区画が大人一人当たり500円で利用できます。また予約制になっていますが、1棟5,000円のケビンもありますので、ご利用を考えて臨むのが良いと思います。
◆長い期間を掛けて利尻富士が作った名湧水『甘露泉水』 利尻登山コースの「鴛泊コース」を進んで行くとすぐに「甘露泉水」があります(利尻北麓野営場から約500m/徒歩10分ほどの位置)。この「甘露泉水」と言うのは、環境省で選定されている【名水百選】(北海道では3ヶ所選定されている名水)に選定されている日本最北端の名水です。利尻山に振った雨や雪が浸透し20~30年かけて、ろ過され湧き出す水になります。通年約5.5度のミネラルを含んだ軟水で、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム等を沢山含んでてとても人気のある名水です。持ち帰り可、ミネラルウォーターとしても販売されています。とにかく名前の通り『とにかく甘い』と有名な水です。 |
【重要なお願い】 名水百選に選定されている【甘露泉水】は、利尻富士に降り注ぐ雨水・雪解け水が自然に、ろ過されて出来ています。登山をするお客様の糞尿処理が問題視されてきていますので、携帯トイレなどを利用し環境保全に、ご協力をお願い致します。 |
◆利尻山の上から眺める景観は「天下統一」の気分と、似て非なるものがある
天候次第になりますが利尻山の頂上に辿り着く事で、利尻島のほぼ全域を見渡す事が出来ます。他にも礼文島、道東、道北、そして樺太、モネロン島などまで見渡す事も出来ます。利尻島のほぼ全てを見渡せる事、そこに到達するまでの苦難を乗り越えて来た事などから、ある意味で「天下統一」の気分に近い気分を感じられるかもしれません。頂上に到達した際には、心行くまで360度のパノラマ絶景を堪能して下さい。
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